デジタル化というと自動化を進めて人員削減とか仕事が無くなるといった、人に対してネガティブなイメージを持たれがちです。
本当にそうなのでしょうか。
経営的にはそのような表現になるのかもしれません。
しかし、デジタル化の本質はアナログ強化(=人材育成)にあると思っています。
デジタル化によるデータ活用までを範疇とすると、それによって今まで人間が時間と手間をかけて行ってきた仕事が自動化されて不要になるのは間違いありません。
では、不要になる仕事とはどのような仕事でしょうか。

今の時代(または新しい時代で)人がやるべきではない仕事、やらなくても良い仕事がデジタル化されるのではないでしょうか。そのような仕事をいつまでも若い社員にやらせることはできませんね。自分はこうやって育ったから・・・とか、無駄に見える時間が大事なのだ・・・とよく言われます。理解できますがそれは違う方法に変えていかなければなりません。
今時、
「俺は算盤(そろばん)を使って仕事をしたから計算力があるのだ」
「私は手書きで書類を書いたから漢字が正しく書けるんです」
と言って、新入社員に算盤を使わせたり、手書で書類を作らせる先輩はいません。
デジタル化の重要なポイントは
「人がやるべきこと、人しかできないことを磨く、深めるチャンス」
と捉えています。今までとは違うことに時間を使っていきましょう。
では、何に時間をかけるべきか・・・
●新しいことを考える
企画を作ることや検討することは自動ではできません。今までになかった新しいことを考えたり提案すること、その案について意見を出し合いより良いものにする過程は時間をかけるほど良いものになっていきのではないでしょうか。電子ホワイトボードやオンラインでの会議など道具としてデジタルツールは欠かせませんが、あくまでも人間が主役であり、今まで忙しいから短時間ですまそうとか、メンバーが集まらずに進まなかったことが時間をかけてできるようになります。
●魅力ある人間になる
商品がよければ売れるというものではありません。お客様にとって会社の顔となる担当者が魅力ある人間であれば信用を得ることにもつながります。お客様の趣味の話にもお付き合いできる、いろいろな悩みに親身になって相談できるなど、商品知識以外の人間的な魅力を磨くことに時間をかけてみてはいかがでしょうか。
●新しい道具を使う技術を磨く
今までしていた仕事が自動化されたら、自動化する側に変身するという方法もあります。例えばRPAで自動化されたらRPAを使う技術を身に付ける方が社会人としての価値が高い傾向にあります。最近はプログラミングが不要な開発ツールも多くなっているし、情報システム開発人材は不足しています。業務を熟知したシステム開発担当は非常に貴重です。若い人を社会人として市場価値の高い人材に導いてあげましょう。そのための教育の時間、自己啓発の時間がデジタル化で創出できるのです。
世の中が便利になる流れは誰にも止められません。
その中でどのような人材を育てるべきなのか、どうやって育成をすべきなのか再考すべき時です。残すべきもの、捨てるべきものは何なのかよく考えていきたいと思います。そこについて今の私は「老いては子に従え」でしょうか。